臨床栄養学の過去問 平成23年127問

129問

2015年03月10日 17時47分

23-129  30歳事務職男 性。1か月前より口渇、多尿があり、1週間前より全身倦怠感も出現した。近医を受診し、2型糖尿病と診断され入院となった。身長178cm、体重 77kg(1か月前82kg)、標準体重70kg、血圧130/76mmHg、入院時血糖値520mg/dL、HbA1c13.5%、血清尿素窒素 19mg/dL、血清クレアチニン0.8mg/dL、甲状腺ホルモン値正常、尿糖(+++)、尿たんぱく(-)、尿ケトン体(++)、運動習慣なし。
この患者の病態と治療に関する記述である。正しいのはどれか。
(1) 体重減少の原因は、エネルギー消費量の増加である。
(2) エネルギー摂取量は、2,400kcal/日とする。
(3) たんぱく質摂取量は、30g/日とする。
(4) 脂肪摂取量は、50g/日とする。
(5) 運動療法を開始する。
 
解説  (1) × 体重減少の原因は、脂肪の分解の亢進である。糖尿病は、組織の細胞に糖を送り込んで糖をエネルギー源として使えるようにしたり、グリコーゲン合成や脂肪組 織での脂肪合成を促進し、エネルギーとして蓄えておくように働くホルモン、インスリンの不足や効き目が悪くなる病気である。糖を細胞内に取り込むことがで きないため、細胞内グルコース利用能は低下してしまう。血液に糖はあるのだが、糖が取り込まれないことで、身体は「糖が欠乏している」つまり飢餓状態だと 勘違いしてしまう。よって、肝臓からのグルコースの放出が亢進し、アミノ酸等からの糖新生が促進され、脂肪がエネルギー源となりケトン体が体内に蓄積する という風に、身体で飢餓状態の代謝と同じことが起こってしまうのである。尿ケトン体(++)、運動習慣なしであることから、脂肪の分解が急激に進んでいる と考えられる。
 
 
 

解説


 
(2) × エネルギー摂取量は、標準体重×身体活動量で算出する。標準体重は、標準体重=身長(m)×身長(m)×22で算出する。この男性の場合、標準体重は70kgである。また、身体活動量は、下記のように分類されている。
軽労作の場合:標準体重×25~30kcal
普通の労作:標準体重×30~35kcal
重い労作:標準体重×35kcal
この男性の場合、事務職であり、運動習慣なしであることから、軽労作の場合に当たり、70kg×25~30kcal=1,743~2,091kcalと計算される。現時点で標準体重より7kg多いため、これよりも少な目にする必要がある。
(3) × たんぱく質摂取量は、標準体重×1.0~1.2gで算出できる。このことから、70kg×1.0~1.2g=70~84g/日とする。
(4) ○ 脂肪摂取量は、脂質エネルギー比率20~25%で算出される。1,743~2,091kcalの20~25%は、およそ350~523kcalとなる。脂肪は1gあたり9kcalであるため、39~58g/日と算出される。
(5) × 空腹時血糖250mg/dL以上で、尿ケトン体陽性者であるため、運動中に高血糖になるおそれがある。よって、運動療法は行わない。
解答  (4)


 

関連ページ

新着ページ